見た目より優しいんだ、と思いながら横目で彼女を盗み見た。
歌夜ほど派手じゃないけど知的な顔をした美人。でも日焼けした肌が真面目な雰囲気を消して、活発なイメージを作っているような気がした。
微笑んだ時に出来る右頬のえくぼが、途端に人懐っこい雰囲気を添える。
「先輩こんなとこで何してたんですか?普通来ないでしょ、校舎裏なんて」
夕暮れ時の校舎裏。薄暗くてジメジメしてて、結構気味悪いと思う。一応裏門もあったりするんだけど、この時間帯はあまり好んで利用する生徒もいない。
「んー?ま、ちょっとね」
「?」
なんだかはっきりしない口調で言った彼女。
その様子を見て、もしかして歌夜に聞いたのかなと感じた。彼女は僕がよくここでイジメられてるのを知っているから。
ぼんやり考えていたら、す、と葵さんが僕に手を差し出した。意味がよく分からなくて彼女の目を見つめてしまった。そしたら。
「うわっ!めっちゃ可愛いっ!それ反則だよキミ!!」
「……え?」
見た目より、変な人?