莱の口から柔らかな声が紡ぎ出された。

アコースティックギターの音色に乗った歌声が冷えた空気に広がる。

ん~、やっぱいい声してるわ!

諒介はギターを弾きながら口元をニンマリとさせた。






「なぁ、やっぱお前ボーカルやるべきだぜ。ベースなんかやめろよ」

一曲弾き終わった後でギターを再びケースに戻しながら諒介は言う。
もう何度目かわからないくらい繰り返してる台詞。

「ヤダ。俺はベースが好きなんだから、ベースでいいの」

「好きとできる、は違うんだぜ、篠塚」

「……ムカつく」

確かに俺は下手だけどさ!