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やってきたのは屋上。これから本格的に冬へ突入するという時期に、ここは寒すぎる。

「……さみーっ!!」

「誰だよ屋上でって言ったやつ」

「何か言った?」

「別に」

莱と諒介の二人は、それでものろのろとフェンスの際まで足を延ばす。
時折、足元を冷たい空気が通り過ぎた。

「さて、ではでは今日の一発目、いきますか」

ウキウキとした口調で諒介が肩に背負っていた大きな荷物を地面に降ろした。
それはくたびれたギターケース。

「今日はなに?」

仕方なく莱は曲名を尋ねる。するとしばしギターのチューニングに集中していた諒介が、ぽつりと呟いた。

「じゃああれ。レット・イット・ビー」

「なにその下手糞な発音は」

「英語は苦手なのよー俺」

ふん、と鼻を鳴らし、頬をふくらませながらもその指は早速ギターの弦へと。