その日の放課後。

「こ~うし~!また来たよ~ん!」

「……うぜぇ」

「え?なに?何か言った?」

俺はペシッと海斗の頭を叩いて、席を立つ。

「オマエがウザいって言ったの」

「ひぃっ!ヒドい!」

ムンクの叫びを真似るバカ。

俺は相手にする気にもなれずスタスタと歩き出す。

「待って待って!なぁ、マジでヤッてくれよ~、俺と一緒に」

バンド。

その単語に俺の心は凍り付く。

苦い思い出が脳裏に蘇る。

「……もうバンドはやりたくねぇんだ。何度言ったらわかる?」

腕を掴む海斗の手を振りほどく。

そうだ、俺はもう二度とやらない。
あんな苦しいモノ。

まっぴらだ……。