「桜ってさ、パッと咲いてパッと散る……。潔いし、綺麗だけど……俺はもっと長くしぶとく咲いてたいんだよね」

そう言った彼の目は桜の花を透かして、何かをしっかりと見据えてた。

それは彼にとっての大事なモノ。そんな気がした。

「ね……いつも、どこ見てたの?」

私は今までずっとずっと、訊きたくて仕方なかった事を口にした。

あまりに唐突で、彼は一瞬キョトンとしてたけど、直ぐに質問の意味を理解してくれたみたいだった。

少し俯いて親指の爪を噛む。
彼の癖。

いつも見てたから、知ってる。
それがなんだかおかしくて口元が弛んでしまった。

それを目敏く見つけ、彼は鋭い視線を私に向けた。