「……何してんの?」 よく考えたら、彼と口をきくのはこれが初めてだと気付いた。 3年間、同じ高校に通ってたのに。 振り向いた彼はいつも通りの無表情。 「桜、見てた」 「へぇ……桜、好きなの?」 私が訊くと、彼はチラッと薄紅色の花を見上げてしかめっ面をした。 「大嫌い」 「え……?」 嫌いなのに、見てたの? そんな私の心を読み取ったかのように、彼は上を見上げたまま口を開いた。