ポロン――♪
「あ、それいいねぇ」
俺はニンマリしてギターを弾くアイツに笑いかける。
「そ?今考えてる新曲」
はにかんだ微笑みを見せるヤツの表情は、初めてあのライブハウスで見たそれとは全く違う。
すごく柔らかい表情になった。
ギターの音も以前の鋭さは残したものの、どこか人を誘い込む音色になってきた。
「新曲かぁ~、どんな感じ?」
「バラード」
「なに?バラード?!珍しいなぁ……」
いつもバラードは俺ばっかりが作ってたから、驚いた。
ふと、そこで気づく。
「もしかして……」
恋でもした?って訊こうと思ったけど。