ただ単にトリのバンドだからか、本当に人気があるのか、周りにいた女子高生達の声のトーンが上がった気がした。

さて、お手並み拝見といきますか。

壁にもたれていた背を伸ばし、俺は聴く体勢を整えた。

暗転したステージにバンドのメンバーが現れると同時に、明るい照明。

と、感じた瞬間。

俺の耳を震わせた音。



空気を切り裂くような音色。俺の胸に突き刺さった。

――あ、好きな音。

反射的にそう感じた。
けど……。

なんでコイツ、こんな苦しそうな音出してんだ?

俺はギタリストの顔を見上げた。

彫りの深い、整った顔立ちのギタリスト。
自分とそう変わらない年齢に見える。

すっげえつまらなそうに弾いてやがる。もったいねぇ……。

そう思ったと同時に。

俺ならコイツのギターの音、もっともっと良くしてやれるのに。
なんて考えがよぎった。

「よし。アイツの音、ゲットだな」

ニンマリ笑って俺は目の前でギターを弾くアイツをターゲットに絞ったんだ。