マジですげーギター弾くヤツ、いんのかよ?
なんだか疑わしくなってきた。
いくら自分が早く歌いたいからって、見知らぬヤツの言葉、鵜呑みにし過ぎたかな……。
ふ、と俺は苦笑いを漏らしていた。
―――そう、俺は歌いたかったんだ。
自分の声が、他人からしたら凄くイイ声なんだってのは結構前から気付いてた。
だからこそ、俺の声に負けない、いや、俺の声よりすげぇギタリストが欲しかった。
さんざん捜して、さんざん肩すかしを喰らった。
もちろん自分でギターを弾いて歌うってことも考えたけど……。
やっぱりボーカルは歌だけに専念してた方がいいんだよなぁ……。
いつの間にか自分の思考に没頭してた俺。気づけばラストのバンド。
例のバンドだ。
俺は少しだけ身構えて薄暗いステージを睨んだ。