―――数日後。
薄っぺらい紙切れ1枚、《BLACK STAR》の名が印刷されたチケットに、軽いとは言い切れない期待を乗せて俺は小さなライブハウスの扉を開けた。
ギタリスト、ギタリスト!
ザワザワしたハコの中、俺は上手側の壁際を陣取った。
ギタリストをよく見るために。
もしかしたら、今度こそ自分の求めてるギターの音が見つかるかもしれない。
そう思うとうずうずして、いてもたってもいられなかった。
今まで全部、ハズレだったからなぁ~。
なんて俺が思ってると、スッと照明が落ちた。
一組目のバンドだ。
うわっ!ひっでぇ音!
聴けたもんじゃなかった。最悪な演奏に、最低なボーカル。
思わず舌打ちをして、意識して音を聞かないようにした……。