「…なんか、お前が泣きそうな顔とかしてると調子狂うし」

「…調子、狂うんですか?」

「そ。だからもうそんな顔するなよ」


そう言うとユキさんは再び私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

小さい子供扱いされてるみたいな撫で方だったけど、何故かすごく安心した。

不器用に私を撫でるユキさんの手は、冷たくも温かくもなく、程よい体温だった。




…期待なんてしちゃだめなことくらいわかってる。

あくまで家政婦な私は、ユキさんに『それ以上』を求めちゃだめなんだ。




「…笑ってる方が、アヤらしいし」


けど、優しく笑うユキさんにどきどきしてしまうこの気持ちは捨てられそうになくて。