唇を噛んで、溢れ出しそうな涙をぐっと堪えた。 ユキさんのバッグをユキさんの書斎に置いて、ユキさんの寝室から着替えを用意して脱衣室に持っていくと、いつもならユキさんの脱ぎ捨てた衣類が散乱しているのに、今日はひとつもなかった。 きょろきょろと辺りを見まわすと、すみっこに袋に詰め込まれている服を発見した。 …捨てるつもりなのかな。 私が見つけないように隠されている衣類を見て、ユキさんのあの顔をまた思い出した。