…どうして、私はユキさんとキスしているんだろう。
『キス』という言葉を頭で思い浮かべて、キスってこんなに胸が苦しくなるものだったっけ、なんてことを考えた。
視界が、ゆらゆらと揺れた。
「…もう、頼むから黙って」
唇を重ねていたのは、時間にすればきっとほんの少しの間だったんだと思う。
でも、私にはその時間が永遠に続くんじゃないかと錯覚するほどに長く感じた。
ユキさんは、唇を離し、私の濡れた目元を指でなぞりながら、苦しそうに一言、そう呟いた。
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