「俺が好きになったことで、カオリは死んだ。また誰かを好きになって、同じことが起こらないなんて誰が言える? 俺は、俺のせいで誰かを失うのが…怖いんだよ」 初めて聞く、ユキさんの『弱音』だった。 ユキさんは、カオリさんを失ったときのように誰かを失うのが怖くて、6年間、きっと前に進めていないんだろう。 ぎゅっと胸が締めつけられるような感覚。 私にはわからないくらい、ユキさんの傷はきっと大きい。