そのままくるりと向きを変えると、後ろからユキさんが私を呼んだ。
「…はい?」
「後で書類片付けるの手伝え」
「…はい、わかりました」
後ろを振り返らないまま、ユキさんに返事をして書斎を出た。
パタン、とドアを閉め、中に聞こえないように小さくはぁ、とため息をこぼした。
…ユキさんは普通すぎるくらい普通に、前と変わらず私に接してくる。
命令口調なのも、相変わらず。
前と違うのは、前のように接することが出来ないのは、私の方。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…