「あっ麻美ちゃん、泣かないで」


「ごめんなさい仕事中なのにっ……思い出しちゃって……」




思い出すって何をだよ。


ちらっとそっちを見ると麻美さんの肩をさする草部さんがキッと俺を睨んできた。


……怖い。


いい大人になって他人の恋愛事情に首つっこんで人を悪く言うなんてなんか可笑しい気がするけど……。



……一体どんなでまかせを振り撒いてるんだあの女の子は。



皆に聞き出して訂正する気も起きなかった。




別に職場で誰かと深い仲を築こうなんて最初から思ってなかったし、
金さえもらえれば別に良い。


どんな風に見られようが、どうでもいいや。



面倒くさい。