「あのね……」
麻美さんが上目遣いで俺を見てくる。
「私……神崎くんが好きなの……」
「……」
やっぱりか。
自惚れとかじゃなくて、普通にそう思った。
「良かったら……私と付き合ってください」
「俺、好きな子がいるんです」
「知ってる……でも、絶対私のこと好きにさせてみせるから……!」
「その子以外考えられないんです」
麻美さんが言い終わらないうちにそう言うと、麻美さんは顔を真っ赤にして店の中に駆け込んでいった。
ごめんとは言わなかった。
謝罪の言葉で振られるのってなんか嫌だろうなと思ったからだ。