「警察に正直にはなせよ。殺した訳じゃないんだし……」
「……やだ」
「おまえなぁ……! 犯罪だぞ、女の子を連れ去るなんて……」
周りを気にしながら声を小さくする。
「ウミちゃんの親だって凄い心配してるだろうし……すぐに警察行ってこいよ……」
「嫌だ」
「嫌だっつったってな、すぐ見つかるぞ」
「見つからない」
「だってコンビニでよく話してたんだろ? その目撃者だっていっぱいいるだろうし」
「大丈夫。俺、最初からウミちゃんのこと誘拐するつもりでいたから、話すときはコンビニの裏でだった。
アイスを買ってあげるときも俺一人でコンビニの中に入ってたし、ウミちゃんは俺と会ってること誰にも言ってないし。
……たとえ俺とウミちゃんが話してるのを見た人がいたとしてもそれは一番始めのあの時だけ」
「そういう問題じゃねぇし……」
涼太は頭をかきながらアイスコーヒーを飲み込んだ。