「瞬くんて睫毛ながーいね」
「そうかな?」
俺の作ったオムライスを食べながらウミちゃんは言った。
これは夜ご飯。
涼太以外の人と一緒にご飯を食べるのは凄く久しぶりだった。
「ウミ、瞬くんの髪の毛好き」
「どうして?」
「真っ黒でサラサラだから!」
そう言ってウミちゃんはスプーンを置いて、テーブルの向かい側に座る俺の髪の毛に手を伸ばしてきた。
「いいなぁ瞬くんの髪の毛」
「そうかな?」
前にも……女の人に言われた。
神崎くんの髪の毛って綺麗ね、って。
嬉しくなかった。
赤いマニキュアをした指に俺の髪の毛を絡める。
あの女の人は、俺の見た目が気に入ったらしい。
でも俺の性格が暗いことを知るとすぐに離れていった。