翌日、俺は授業中も小夜のことで頭がいっぱいだった。

「黒崎~」

親友の野村悠貴(のむら ゆうき)の声で我に返った。

「わ…わりぃ」

「大丈夫かよ。まさか恋でもしたのか?」

「は?ありえねぇ」

「塁斗ぉ、先生からのプリント預かって来たよぉ」

「あ、サンキュ」

俺は女子からプリントを受け取った。

「じゃあまたねぇ」

…なんだあれ。

「つかさっきの女子、絶対黒崎のこと好きだよなぁ」

「ブリッコって苦手なんだけど…」

「まあ俺も無理」

「さっきの女子名前なんて言うの?」

「知らねぇのかよ!確か…西川あさみだったはず。この学校じゃ目立ってる方だよな」

「俺は地味なヤツがいい」

「黒崎には合わねーよそんなヤツ」

小夜はどうなんだろう…?

俺は小夜のこと…何にも知らない。

知りたい……。

放課後、俺は小夜が通う学校に行った。

「あ、あの!」

学校の門のところで携帯をいじっていると、女の子が駆け寄ってきた。

「黒崎塁斗くんだよね?」

「あ…ああ。そうだけど…なんで?」

「メアド教えて!」

初対面のヤツにメアド聞かれたの初めてだし。

「黒崎くん、この学校じゃあ有名だよ!」

「えっ!?なんで?」

「イケメンだからじゃないかな?」

「悪いけどメアドは無理。また今度ねっ」

「えーっなんで?」

小夜に会いに来たのに…。

「あれ?黒崎くん?」

「小夜…!」

俺は大きい声で叫んでしまった。

「どうして黒崎くんここにいるの!?」

「小夜に会いに来たんだ。今から時間ある?」

「う…うん!」

俺はさっきの女子をスルーして小夜の手を掴んだ。