言われて気付いた。 確かに遅い。 「まだ客が多すぎて、抜けられねぇんじゃ?」 この時はそう思ってた。 だけど…、 5分、 10分…、 15分……、 「遅い。」 酒田と種村は既に屋上にはいなくて、俺は1人で携帯を眺めながら時間を見ていた。 余りにも遅すぎる…。 「チッ、」 何か嫌な予感すんなぁ…。 「仕方ねぇ…。」 屋上を出た。 周りの声が五月蠅いのに、今そんな事考えてる場合じゃねぇ。 俺は自然と早足になっていた。