しばらくするとダイ君は泣き止んだ。
時計は7時を回っていた。
「そろそろお母さん帰ってくるのかな」
オレが聞くと
8時くらいに帰ってくる、と返事をした。
オレはマンションまでダイ君を送っていくことにした。
Tシャツビチャビチャだ
しかも白いから腹が透けて見える。
・・・
腹出てきたなあ・・・
まぁ、筋トレサボってるし・・・。
マンションの入り口に着いたので最後にと思ってダイ君に言った。
「ダイ君、最後に1つ約束しよう。」
ダイ君がまじまじとオレの方を見てきた。
「これからダイ君とお母さんは2人で住むんだよな。
だからさ、ダイ君がお母さんのこと守ってやってよ。
例えばダイ君がお父さんがいないからって哀しい顔してたらお母さんが悲しむよな
だからお母さんにいっぱい笑顔見せてあげてよ」
そして、最後に加えた。
「あ、無理しないでいいぞ。泣きたいときは泣けば、な」
昔、好きでよく聴いていた歌手の歌を思い出した。
泣かないでえらいねって褒められていたけど、そんなことは望んでなかったってヤツ。
ダイ君はオレの目をまじまじと見て、コクンと首を振った。
前よりもずっと強く、大きく。
「じゃあな」
オレがそう言うと歩いていった。
途中で振り返ったので手を振ったら、手を振り替えしてくれた。
なんかすげえ嬉しかった。