リュウはすっかりうす暗くなった空を見上げた。

オレも空を見上げた。

ぼんやりと月が浮かんでいる、今日は満月みたいだ。

お互い何も言わない、帰路へと急ぐ人々の中で何も言わずに空を見上げているオレらはきっと浮いているだろう。

そんな中でもオレが脈打つ音はしっかりと聞えている。


「アイツ、ホントに変わらないな・・・」

しばらくして、リュウがやっと口を開いた。

呟くように小さな声でゆっくりと・・・

「なにがゴメンだよ。謝らなきゃなんないのはオレなのにな。知ってて気付かない振りしてたんだから、サイテーだよ」


オレは空を仰いだまま目を閉じた。

リュウが自分の中に溜めている苦しみを少しでも吐き出せるように・・・


「あの頃のオレは何も出来なかったんだ、アイツが苦しい想いをしてたのに」


目を閉じても声で解ってしまう、リュウは自分を責めている。

優しいヤツだ、チャラくなったってやっぱりコイツは変わらない。

コイツは過去の罪悪感に苦しめられているんだ、フミが今元気であっても・・・


「フミとメッチャ仲良かったんだな、てか親友?」

目は開けたけど空を仰いだまま、深く深呼吸してリュウに聞いた。

すると、リュウは答えた。


「親友ってか、いとこだよ」



は!?!?