オレが近寄って来るのに気付いて、よっ、となぜかあいさつしてきた。
・・・
怒ってはないな、これは。
オレはほっとしてリュウの隣に座って、聞いた。
「フミは?」
「帰ったよ」
「ふうん」
会話終了、沈黙が続いた。
夕方の涼しい風が髪を揺らすのが心地よい。
このままいつまでこうしてるんだろう・・・
そう思ってリュウの方をちらっと見ると
とても優しい目をしてた
本来のコイツの姿だ
どんな格好をしても
彼女作ってチャラくなっても
その優しさは変わらずに滲み出ている
そしてオレはその優しさにいつも安心してリュウといるんだ。
「ケイタ・・・ありがとな」
沈黙を破ったのはリュウだった。
それも凄いビックリする一言で・・・
「は?何が、どうしたよ?急に・・・」
オレがビックリしてそう聞くと、リュウは少し笑って
「いやお前めっちゃオレんこと解ってるじゃん。オレ今日来る時、困ってたんだ。
多分、ケイタが離れててくれないと伝えることもちゃんと伝えられないって・・・
だからケイタには離れててもらおうと思ったんだ、ケドお前が自ら離れてくれて」
うわ、やめてくれ・・・
涼しい風に当たっていたはずの体が急に熱くなった。
「お前、やめろよ!!それは後付けだ、オレ2人の会話聞くのが怖くて逃げただけなんだしさぁ・・・オレはそんなやつじゃ・・・」
必死に弁明するオレを見て、リュウは目が無くなるほど大きく笑った。
「ケイタらしいな」