・・・にしてもリュウ遅せーー
オレは携帯に目をやった
もう約束の時間を20分過ぎてる。
・・・アイツ、まぁ今に始まったことじゃないけどさ
今日は久しぶりに会うヤツもいるのに
それも訳あり。
ホント勘弁してくれって話だよな・・・。
ちらっとフミの方に目をやると、なにも言わずに俯いていた。
そっか、初対面の人に会うのに緊張するんだ、コイツは。
オレと初めて会ったときもめっちゃ不自然な愛想笑いを浮かべて何も喋らなかったし・・・それでオレいらいらしたし
だけど、今日会うヤツは訳ありだよ?大丈夫のか・・・
そんなこと考えてると携帯がぶるぶる震えだした。
リュウだ!
こっちに向かってるらしい、あ!!あれだ。
よし、作戦実行!!
オレは走ってくるリュウを指さしてフミに言った。
「なぁ、あのチャラ男知ってる?お前知ってるだろ?忘れてたら本人に自分で誰か聞けよ??んじゃ、後は2人で仲良くやってくれ、じゃ!!」
1抜けた!!
オレが指さす先を見て、ビックリしてガッチガチに固まったフミを置いてオレは走り出した。
ああ、逃げだよ。
文句あるかよ?
でもこれはオレからの優しさでもあるんだ。
オレは人でごった返す駅前の通りを疾走した
色んな人にぶつかった。
舌打ちされたり、怒鳴られたり・・・
知らねぇ!
子供の頃を思い出した
お祭りで親と離れている間にガキ大将に遭って
色んな人にぶつかりながら必死に逃げたこと。
そのせいで迷子になったこと。
だけどフミはもっと怖い目にあってたのかな?
そんなことを考えてたらやるせなくなった。
フミ・・・・
額にかいた汗が温かく感じる、きっとジリジリした日射しのせいだろう。