「ほんとですか〜?なんだか今日は一段とかっこいいけど。」
「き、気のせいです!では、失礼します。」
笹木さんの、いやらしい視線から逃れるように、俺は早足で病院の扉を抜けた。
車から駅を覗く。
行き交う人の中に、彼女の姿は無い。
電話をかけようと携帯を開くと、ちょうど電話が来た。
「あ、もしもし。」
『もしもし。先生どこ?』
「えっと…南口の…
振り返った瞬間、
キョロキョロと辺りを見渡す1人の少女が目に入った。
停められている車を1つずつ確認している。
困った表情の彼女は、
まるで幼い少女のよう。
本当に、可愛いと思った。
「見つけました。」
心から、そう思った。