「…ねぇ、先生…?」


大野亜矢子は窓の外を眺めながら、言った。


「私ね、お父さんが死んじゃってから…本当に、色々と悔やんだ。自分を責めたり、意味もなく泣き崩れたり。


会わなきゃ良かったって…出会いもあった。でもね?」


彼女と、視線がぶつかる。


「私、川崎先生に会えて良かったって、心から思えるんです。」


突然の言葉に、
信じられないくらいの時間の静止を感じた。


だんだんと実感がわき、
恥ずかしさと嬉しさで下を向いた。


初めて言われた、そんな言葉。


「だから、だからね。今日はカウンセリングじゃなくて、お礼がしたいんです。」