先生からグローブを受け取り、
手にしっかりとはめる。
一度空を見上げた。
(青空…)
そう。今日も青空だ。
「お姉ちゃん。」
「…ん、なぁに?」
「お姉ちゃんの名前、なんて言うの?」
男の子は首をかしげて私を見上げている。
「私はねぇ…亜矢子。僕は何て言うの?」
「亜矢子お姉ちゃんかぁ。
僕はね、達也って言うの。」
「達也くんね。じゃあやろうか、キャッチボール。」
日差しが降り注ぐ中、
夢中でボールを投げた。
達也くんはキャッチボールが上手で、
何よりも本当に楽しそうに投げていた。
その笑顔は、痛いほどに眩しかった。
「亜矢子お姉ちゃん。
川崎先生ってね、昼休みを使って僕とキャッチボールしてくれるんだ。」
私たちは、さっきまで先生が座っていたベンチに2人揃って座っている。
川崎先生は子供たちの診察に戻り、私の診察の時間までここで待つことにした。