スカイブルーのシャツを袖捲りし、
目にはいつもの黒縁メガネをかけてない。
その代わりに、優しい瞳があった。
いつもよりもどこか幼くて、
走ってきたせいか頬が少し赤くて。
どことなく、少年の名残があった。
「大野さん、まだ時間では…」
「早く、来ちゃったんです。
それで散歩してたら。」
ちょこんと私を見上げる男の子の頭を撫でた。
「この子に、会えたんです。」
「ねっ?」と笑いかけると、
男の子は「うんっ!」と元気に答えてくれた。
「そうだったんですね。」
先生も目尻を下げて笑った。
メガネ越しではわからなかった、いつもより柔らかい笑顔。
私も自然と笑顔になる。
そうやって先生は、いつも患者さんを安心させてるんだね。
この男の子の温かい笑みが、
そう言っている。