ただただ、心配だった。


彼女には、何か抱えきれない過去がある気がして。


1人で生きていくには、
まだ十分な歳ではない。


あの涙も、横顔も、
全てが不安に満ちている、
そんな気がして……



だから、



「…会いたいっ……」



そんな言葉に、
どんな行動をすれば言いか、
わかっていたはずなのに。



「先生…私っ……」


走りだしたい気持ちを押さえて、俺は冷静を装い、言った。


「…今日は、会えませんが、明日病院に来て下さい。
私も…心配ですから。
明日、待っています。」



俺は、あくまで彼女にとっての
担当医。


いや…担当医以下かもしれない。