俺の、考え過ぎだと思う。
そう思うけれど、
何か嫌な予感がしたんだ。
親父からの話のあとに
こんなふうに似た人に会うなんて
なんだか、胸が騒ついて仕方がない。
…確かめてみよう。
そんな必要は、無いのだけれど。
でも…
思い切って、携帯の呼び出しボタンを押した。
何コールしただろう。
諦めようかとした、その時、
プツンと呼び出し音が切れる音がした。
「あ、もしもし。夜分遅くにすみません。川崎隆太です。」
咄嗟に言った。
かなりの早口になってしまった。
「…川崎先生。話し方、堅すぎ。」
「えっ、ああ、そうですね。」
「今も、堅い。」
「すみません…て、これも堅いか…」
彼女とは、どうも上手く話せない。
やっぱり、医者と患者の関係があるからだろうか。
でも、電話をした時点で、
もうその関係は、崩れてしまいそうな気がした。