上原 達也くんは、小学生二年生。


体は一般男児よりも明らかに小さく、生まれた頃から肝臓が悪い。

この前手術をして、回復はしたようだが、安全とは言えない。


子供の体は、大人よりも進行が速い。


いや、子供だけではない。
人間の命は、驚くほど脆いのだ。

生まれた瞬間から、人間は死に一歩一歩と目にはわからない速度で進んでいる。


それは、抵抗しても、道を引き返そうとしても避けられない現実なのだ。



「川崎先生。」


ふと名前を呼ばれて振り向くと
先程とは違う、若い看護師がいた。