「こらっ!達也くん!走っちゃダメだって言ったでしょう?」


「あっ!見つかっちゃった!」


達也くんはバツが悪そうに俺にピッタリとくっつく。


「川崎先生も注意しなきゃダメじゃないですか!もうっ!」


「そうですね。ごめんなさい。」


ベテラン看護師にはどうも頭が上がらない。


「ほら!達也くん、行くわよ。」

「あ〜…川崎先生!絶対キャッチボールやろうね!」


達也くんは看護師に抱き抱えられ泣く泣く俺から離れた。


「ああ。約束な。」


頭を撫でてやると安心したのか、達也くんは柔らかく笑った。