そう、鏡に映るもう一人の私は本当に幸せそうで。
これからの結婚式をとても楽しみにしているように見える。
でも、私の心は
私の気持ちは
ここにはない。
「澤田くんも来てたね」
ドキン
澤田くん。
その名前に一気に肩が上がるのが自分でも分かる。
そっか、来てくれたんだ
「由亜?」
「な、何?」
名前を呼ばれて友達の方に顔をむけた。
でも視線までは
彼女の方を向けられない。
「由亜あんた」
どうか、その先は言わないで。
今言われたら私・・
その時
コンコン!
軽快に鳴るノック音が耳に入った。
「どうぞ」
私の声と一緒に
「失礼します」
ガチャッと扉が開いて、ホテルの人が入ってくる。
「そろそろ、お時間です」
お辞儀をしたその人は、笑顔でそう言って私の方へと近付いてきた。
「はい、分かりました」
「由亜、正直に言ってよ。あんたもしかして」