俺様の指が、弦を弾く。


すごく、良いメロディーが頭を掠めた。



それと同時に、あいつの顔が見たくなった。

でも、この空間にいるのは、単なる友達。


いちよう、いっちょ前に女だと主張するけど、俺様の目には到底そうは見えない。



あいつに会いたい。



「ほれ!」


俺様の目から映る、唯一の女性。


彼女の番号を携帯から捜し、目の前にいるやつに渡した。


「俺様は、忙しいから替わりに呼び出してくれ」


本当は、自分じゃ来てくれないのを知ってるから、彼女の親友であるこいつに頼んだまでのこと。


俺様は、不安を隠すようにギターに集中している。


耳だけはダンボなくせして。



「でないけど」


突き付けられた携帯電話を持つ、目の前のやつの手が少し震えていた。



やつが、二人きりがいいなんてほざくけど、俺様はきっぱりお断りだ。



でも、やつが触った携帯の温もりがやけに生々しく、一瞬ドキッとした。



やつに初めて感じた、女だった。



=fin=