今日、彼女のオーディションの結果が届いた。
事務所から、出て来た彼女には、声をかけてはいけない……そんな、空気が漂っていた。
僕は、小さなこの町の、小さなダンス小屋のダンサー。
彼女は、小さなトップスター。
誰もが、このチャンスに期待していた。
でも…………。
照り付ける、太陽の下に飛び出した彼女が心配で、僕も後を追う。
道端で、しゃがみ込む彼女を発見したのに、傍に行く勇気が出ない。
彼女の目の前にある、小さな水溜まりが蒸発した頃に、気合いを入れる。
『頑張れ、オレ』
僕は、握りこぶしに力を入れた。
「・・・・・・・。」
「……?!!」
肩を軽く叩いて、腕を引っ張った。
突然の僕の行動に、驚きを隠せない彼女。
「な、なに?どーしたのよ」
抵抗する彼女を、小さなダンス小屋に連れていく。
初めは、嫌がっていた彼女も、大人しく席に座った。
照明を落とし、タップを踏む。
ライトが僕を捉らえると、弾けたように靴が歌い出す。
『いつも、はじから君を見てたよ』
音に、想いを込める。
『君の本当を、解らない奴らに負けるな』
ハットに隠した、伝言。
『君は、いつでも主役さ』
少し、おどけてヘマをする。
興味なさ気に見ていたのに、今は、漆黒の舞台に夢中。
僕の汗は、無駄じゃないね。
彼女の笑顔が見れたから、僕も嬉しくなった。
まだ、チャンスはあるさ。
照れたトップダンサーは、憐れな道化師に握手をひとつ……
『君の、笑顔が見れるなら、僕は喜んで道化になるさ……』
叶わない恋だけど……
君を
君を、想ってる………
=fin=
事務所から、出て来た彼女には、声をかけてはいけない……そんな、空気が漂っていた。
僕は、小さなこの町の、小さなダンス小屋のダンサー。
彼女は、小さなトップスター。
誰もが、このチャンスに期待していた。
でも…………。
照り付ける、太陽の下に飛び出した彼女が心配で、僕も後を追う。
道端で、しゃがみ込む彼女を発見したのに、傍に行く勇気が出ない。
彼女の目の前にある、小さな水溜まりが蒸発した頃に、気合いを入れる。
『頑張れ、オレ』
僕は、握りこぶしに力を入れた。
「・・・・・・・。」
「……?!!」
肩を軽く叩いて、腕を引っ張った。
突然の僕の行動に、驚きを隠せない彼女。
「な、なに?どーしたのよ」
抵抗する彼女を、小さなダンス小屋に連れていく。
初めは、嫌がっていた彼女も、大人しく席に座った。
照明を落とし、タップを踏む。
ライトが僕を捉らえると、弾けたように靴が歌い出す。
『いつも、はじから君を見てたよ』
音に、想いを込める。
『君の本当を、解らない奴らに負けるな』
ハットに隠した、伝言。
『君は、いつでも主役さ』
少し、おどけてヘマをする。
興味なさ気に見ていたのに、今は、漆黒の舞台に夢中。
僕の汗は、無駄じゃないね。
彼女の笑顔が見れたから、僕も嬉しくなった。
まだ、チャンスはあるさ。
照れたトップダンサーは、憐れな道化師に握手をひとつ……
『君の、笑顔が見れるなら、僕は喜んで道化になるさ……』
叶わない恋だけど……
君を
君を、想ってる………
=fin=