「おはよ!」


今朝は体調も、天気も最高に澄み渡っている。


ちょっとお寝坊なワイフに笑顔を向ける余裕さえある。


毎日が慌ただしく過ぎて、新婚の俺達を置いてきぼりにするから最近は喧嘩ばかり……


「おはよ…裕紀………早いね…」


目を擦りながら、秋穂が手をのばす。


「起きちゃったんだよ。それより、手伝ってよ。天気も良いし、たまにはピクニックに行こうよ!」


キョトンとした秋穂に僕は微笑む。


「ん、わかった」


窓からの日差しをみて頷き、彼女は洗面台に消えて行った。


2人で作るお弁当は、どこかあたったかで、不格好だったけど、俺達はそれを持って近くの丘に出掛けた。


どこまでも広がる空。


緑が揺れる大地。


もう、初秋の色を漂わせる風。


「おい、待てよ!」


秋穂は、走って前を行く。


僕より年上のくせして、みょ~に子どもな秋穂。

それなのに、いつも僕を子ども扱いする秋穂。


「ねぇ、早くぅ!」


ほら、子どもみたいだ。

場所を決め、シートを広げ、お弁当を食べる。


突然、秋穂が笑った。


「なんだよ」


変な秋穂。


そんなことをあまり気にも止めないで、朝が早かった俺は、ゴロンと寝転がる。



秋穂の柔らかな髪が風に揺れる。



色々と苦労もかけている。


守りきれない場面も沢山ある。



でも……



俺は、秋穂でないとダメなんだ。



そんなことを思いながら俺の意識は遠ざかる。



心地よい風と、安心できる家族の側で疲れを癒す。


これからも、ずっとずっと一緒だよ。



ね。秋穂。



=fin=