20××年、春。

あれから4年が過ぎ、私はあの時のお兄ちゃんと同じ17歳になっていた。

(正しくは秋になるまではまだ16歳だけどね)

本当に人っていうものは凄いと思う。あんなに大切な人と永遠に会えなくなり、

正に悲しみのどん底に突き落とされたかのような気分だったのに。

何時の間にかお兄ちゃんがいない世界に慣れてしまい、

どん底から這い上がる事が出来ていたから。

お兄ちゃんからすればそれは良い事なのかもしれない。

でも完全に忘れる事なんて絶対には出来ない。

だから毎日“和室にいるお兄ちゃん”の部屋に行って挨拶をしてから、学校に行く。

それが私の日課。

今日もまた同じようにお兄ちゃんに挨拶を済ませて、家を飛び出していく。