「ね、顔、ちゃんとみしてみ?」



ドキッ



『‥‥』




どうしよう‥


肩がすくむ


だってもう見なくたってわかる

あなたが誰だか



風に乗って匂ってきた甘い香り


後ろから見た綺麗にセットしてあるつやつやの髪


さっきは人混みでよく聞こえなかったけど、今ならわかる
あたしに話すその優しい声




見せたくない

顔も、腕の傷も



引かれて軽蔑されたくない‥