次の日、会社から帰ってくると、何とナナコは仕事を休み、俺を探していたようだった。

『いさむが返事くれないから、いさむを探したの。でも、今日は見つけられなかったよ』

 何て怖い女なんだ。
 まさか、俺の住んでる場所や会社を全て知ってるわけじゃないんだし、見つかるわけないよな。

 そして、何件目かのナナコの書き込みを読んで、俺は凍り付いた。

『私ね、パソコンのIDから割り出して、いさむを見つけられそうだよぉ。父親がパソコン関係の仕事だから、色々詳しいんだ。すごい? 私って頭良いよね』

 まさか、そう簡単には見つからないだろう。
 いや、でもナナコの執念深さは今までの書き込みで分かってるし、油断は禁物だ。
 仕方ない、何かしら書き込みしとくか。

『返事が気に入らなかったみたいだね。この前の答えは、僕の考えだから、ナナコさんと考え方が違うのは仕方ないことじゃないかな? 人はそれぞれ違う考え方を持っているものですよ』

 すぐ様、ナナコからの返事はきた。
 返事と呼べるものではなく、質問のコピペだけである。
 ナナコがお気に召す答えを書き込めという催促だろう。

 うざい女だ。
 俺は苛立ちながら、書き込みをした。

『コピペだけでは、味気ないですね。嫌われたようなので、僕はもう、この掲示板には来ない方がいいみたいですね』

 すると、ナナコの態度は一変した。