ある日、家に帰って、パソコンを開くと掲示板を見た。

 ナナコは俺が仕事中にも書き込みをしており四件から五件、入っている。内容は職場の愚痴なのだが、必ず俺に十問は質問してきた。

『いさむ〜質問ね。職場のおばさんは私のこと好きだから、嫌なこというのかな? 同僚の主婦の子は、私が可愛いから、口聞かないのかな? 今日中に返事してね。してくれたら、ご褒美にエッチしてあげる』

 ナナコは自信過剰なのか、本気で俺に訊いているのか。
 おそらく前者だろう。

 こんなこと俺に訊かれたって知るかよ。それに返事を強制したり、エッチしてあげるとか、普通こんなこと云わないだろう。
 そう呆れたが、優しく返事をすることにした。

『こんばんは。職場の人達は、ナナコさんを気に入ってるのかもしれませんね。今日も寒いので、俺は、熱燗飲んで寝ま〜す』

 次の日も、ナナコからの書き込みはたくさんあった。

『ちょっと、いさ〜。質問の答えになってないよ。答えるまで、質問のコピペするからね。もしかして、いさむって馬鹿? そんなんじゃ、いつまでたっても私とエッチ出来ないよ。おあずけ〜』

『いさ、返事まだ?』

『いさむ、返事、今日中だから早く』

『いさ〜早くカキコして』

 俺は、腹が立った。
 こんな女に何故、馬鹿呼ばわりされなきゃいけないんだ。それに、書き込みを強制する態度、上からものを云う態度。ナナコに、彼氏や友達が出来ないのも頷ける。

 返事する気をなくした俺は、パソコンを閉じ、早めに寝た。