夜も更け、眠れずにいた俺は悲鳴らしき声が聞こえて、あわてて起き上がりドアを開けると、向かいの部屋の扉が開いており、重美が血を流し、廊下に半分身体を出した状態で倒れていた。その傍らには重子が血のついた包丁を持ち立っている。

 うわー! と叫び、俺は階段を降りると、下に重子がいる。

 えっ? 何で二階にいる重子が下にもいるんだ?

 パニックになった俺は、一階の重子に尋ねた。


「お前どうやって、いつの間に一階に降りたんだよ! 重美さんを殺した殺人鬼め!」


「私はそんな事しないよぉ。でも豪君、私が重美を殺したとしても、私だけを愛してくれる?」


 何て豚野郎だ。
 この期に及んで犯行を認めない所か、図々しい質問をしやがる。


「ふざけんな! お前みたいな豚野郎、始めから好きでも何でもね〜よ! 俺が好きだったのは、始めから重美さんだけだよ。」


 重美が死んだ今、俺は本性を露にした。