「…風呂に入り体を暖めるといい。」
──城に抱えられ戻って来たエリーゼは、アクトにしがみついていた為血と泥にまみれていた。
血まみれの皇太子を見た城の人達は半狂して、
傷の具合を見ようと皇太子に掴み掛かろうとしたが、ひらりひらりと避けられ
アクトはエリーゼを抱いたまま城の奥へと消えて行った。
「…エリーゼ聞こえているのか?」
彼女は首を振る。
(離れないのは嬉しいが…)
「…我も 風呂に入らねばならぬ。このままでは家臣たちがうるさいのでな…。」
「………。」
「1人で入れないなら共に入ろうか。」
「……。」
「エリーゼ…。」
アクトの指先がエリーゼの頬に触れる。
赤く染まったその指は触れるのを一瞬躊躇したが 引き寄せずにはいられなかった。