竜を見た時──

恐ろしいと思った。

恐怖を間違いなく感じていた。


だがこの 身の毛がよだち、吐き気がするほどの 底知れない恐怖はなんだろう


逃げようとする事すら

許して貰えそうにはない。


黝い瞳がギラギラと、音と息を殺しながらじわりじわりと近づいてくる。


その竜よりも恐ろしいケモノは

捕らわれたら最期

生きたままハラワタを引きずり出さし喰いつくすだろう──


そんな事を容易に想像させるほど、底知れない殺意と禍々しさを感じた。