どれぐらい歩き続けたのだろうか…

方向音痴ではないはずの自分が、どちらから来たかも どちらへ向かっているのかさえも解らなくなっていた。


まだ 昼下がりにもならない時間に部屋を出たけれど、エリーゼがいるこの場所は 薄暗く冷たい風が駆け抜ける。

周りは一面の枯れた草原。


「さ〜む〜い!どこよここは〜。」


すねた口調で、冷える指先を脇に抱え ポテポテ歩いている。

【あ〜ぁ 何やってるのかしら私。】

背中から吹きすさぶ風がエリーゼの歩みを止めた。

…帰りたい。

あの城ではなく 家族の元へ。