エリーゼは何だか不愉快な気分になった。ドレスをポイとベットの上に放り投げると
足早に風呂場へ向う。
普通の女の子なら驚きと喜びに満ち溢れるのかもしれない。
…だがエリーゼにとっては王族の服など見慣れた物で、意図して思う所すらなかった。
それどころかこのドレスを送って来た人に対して底知れぬ怒りを感じた。
(王族であることは関係ないと言ったのは どこの何方かしら?)
唇を尖らせ風呂場で
ここ数日の泥と汗を洗い流す。
その気持ち良さに鼻歌を歌いながら髪を洗っていたエリーゼは、ふと思い出し
風呂場から飛び出し、バスローブを羽織り部屋に向かった。
濡らした髪にバスタオル姿のままで、キョロキョロと部屋を見渡したエリーゼは、蒼のドレス以外に服が無い事に気が付くと
心の中で舌打ちして、しぶしぶ風呂場へと戻って行く。
これを着るしかないのか…
気分は憂うつ×2乗 と言った処だ。