だが今度は竜もたじろがず、諦める様子はなかった。

『……そなたの口から聞きたいのだ…』


竜は更に高い声で

ギクシャクしながら答える。


「…エステリーゼ。エステリーゼ・アウステリア・ガン・グラデス。」


竜に自分の名を名乗る事で、人間ではない生き物に名を呼ばれる事を想像して、その不快感を考え

最初は名乗ることをためらった王女だったが、そういう訳にはいかない理由があった。