「病人!?病気なのか?いったい何の…」
「どうやら 魔物の障気にあてられたようです。」
アクトの顔から表情が消えて行く。
それを見て医師は残念そうに続けた。
「……本来なら真冬にはお勧めはしないのですが、人間で在らせられる為か抵抗力がかなり弱いようで、障気を消すための一刻も早い清めの儀が必要かと存じます。」
アクトは決断できずにいた。医師の案を容易に受け入れられる程、それは簡単な解決法ではない。
腕を組みどうするべきか悩む皇太子に、医師は慎重に付け加えた。
「このままでは、朝を待たずに手遅れの状態になります。」
「貎下…。」
アクトの医者を呼ぶ叫びを聞き、フェイがいの一番に駆け付けていた。
フェイの呼び掛けに、しばらく考え込んでいたアクトの瞳に色が戻る。