──少し駆け足になりながら、お互いの顔を伺う。


「私は、私にこの生き方を与えて下さった猊下と両親に感謝しております。」


[死ぬほど辛かっただろうに…。感謝…?]


「両親は酷い人でしたが 記憶には殆どありませんし。私は今 猊下にお仕えする事ができて、とても幸せですから。」


幸せと言いながらフェイは眉一つ動かさない。エリーゼはフェイを覗き込んだ。


「本当に…本当にそう思ってる?」


疑いたくなるのは当然の事で──