「でっでも…感情を捨てろって…。変だとは思わないの?」
表情を変えないフェイに納得はいったが、その内容にエリーゼは納得いかなかった。
「私にとっても猊下にとってもそれがよいと。」
「現実に目を向けずに 感情を捨てる事が?」
無表情な顔がが…少しだけ笑った。
「急がないと遅れてしまいますよ 姫君。」
いつの間にか 緩やかになっていた足取りは、
時の終わりを告げる。
「フェ… フェイマスさん。」
遠慮がちなエリーゼの言葉にフェイは少し驚いた。
──自分のような人間に、王族の姫君が敬語など…
「な 何でしょうか?」
「……あなたは…本当にそれでいいの?」
再び二人の足と時が止まる──。
だがこれで最後だと。
そうなってくれるように、フェイは心から願った。
忠誠を誓った主。
そして姫君の為に…
「はい。姫君──。」